前田司郎「恋愛の解体と北区の滅亡」(講談社)

恋愛の解体と北区の滅亡

恋愛の解体と北区の滅亡


「愛でもない青春でもない旅立たない」から2作連続で。
うーん。やっぱりまだ確たる評価ができない。


会話や人物造形にセンスらしいものが見えるし、それを好むファンもいるだろうなと思う。
でもなー。
本作については、どうも舞城王太郎の「好き好き大好き超愛してる。」あたりの影響がはっきり見えすぎているような気が。


好き好き大好き超愛してる。

好き好き大好き超愛してる。


会話文とか主人公の「ト書き」的な記述にそれがあるのは、まあ、そんなこといったら、ある年代の作家で、舞城とか、前回のエントリで指摘した古谷実とかの影響をぜんぜん受けてない作家のほうが珍しいかもしれないから、そんなに大きな声で言うようなことじゃないかもしれないけど、宇宙人と主人公の日常のキョリとか、五反田やら新宿やらの特定のエリアを描写するテイストとかが微妙に似てると、それはどうなんだろうと。


いま見たら、本作は初出が「好き好き…」と同じ「群像」じゃないか。掲載は約2年遅れか。んー。同じ掲載誌でこれ載せるんなら、もう一つ先を見せてもらいたいのが人情のような。
キビしいかもしれないけど、少なくとも「好き好き…」ほどのインパクトはなかった。



でも、前田司郎の小説の本領は「グレート生活アドベンチャー」にこそあるとどっかで見たので、もう1回だけ評価保留で、次に大いに期待だ! エラそう!