佐藤優「私のマルクス」(文藝春秋)

私のマルクス

私のマルクス


先日もちょっと取り上げた佐藤優「私のマルクス」読了。
国家の罠」に始まり、「獄中記」、「自壊する帝国」と立て続けに発表された近年の著作群に激しく打ちのめされた読者の一人として、氏の形成期の話はぜひ読んでみたかった。どうしたらああいう人物が出来上がるのか、ものすごく興味があったのだ。


果たして。期待を遙かに凌駕する面白さだった。驚愕、そして感嘆。意識的/無意識的な「創作」もきっとあるだろうが、それにしてもこの凄み。著者のいずれの行動も、自分なら決して取り得ない。怪物が誕生する過程を見せられているような気にさせられる。
早く続きを読ませて欲しい。そして、一連の著作をすぐにも再読しなければ。


印象に残った台詞が1つ。登場人物としては端役級にすぎない著者の上級生の言葉が、しかし鋭い。

「結局、佐藤君は革命の必然性を否定したい、つまり自分がインテリとして局外者でいたいから、そういう理屈を立てているんじゃないのかな」

これは痛い。



国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

獄中記

獄中記

自壊する帝国

自壊する帝国