佐藤康光棋聖、棋王位奪取

今期の佐藤康光棋聖の将棋は、観るものを本当に面白がらせてくれる、超一級のエンターテインメントだった。

棋譜速報を見ながら、プロの解説を聞いてもそのスゴさのほんの一端しかわからないような新手、「そこで『行く』のか!?」「そこまで踏み込む!?」とプロさえも驚愕させる攻め、他の棋士の対局では絶対に出現することのないあまりにも個性的な局面等々に、毎度のように、驚き、感嘆し、歓声を上げた。
時には「この大勝負でその過大なリスクをとって大丈夫なのか……」とその危うさに不安にさえさせられた。


今期の佐藤棋聖の戦跡は、将棋界の歴史的にみても特筆されるべきものという見方に異論はないと思う。
7つのタイトル中5タイトルで挑戦権を獲得し(これだけでもメチャクチャすごい)、棋聖位防衛戦を間に挟んで6タイトル戦に連続出場。これ以外にNHK杯などの棋戦でも勝ち進んでいたから、対局数や勝数は当然ダントツ。
それを、追随者のほとんどいないような独自の路線で積み上げたのだから、この偉業を賞賛する言葉を知らない。


ただ惜しくも、これまで挑戦してきた4つのタイトル戦では、なぜか悉く退けられてきた。
特に下期の竜王戦王将戦では、フルセットまでもつれながら最後の最後で惜敗。
四肢を極限まで伸ばしているような今の佐藤棋聖の緊張感というか精神的な何かが、いつぽきんといってもおかしくない、などと一見物人として勝手に危惧していた。


その佐藤棋聖が、今期5回目のタイトル戦挑戦でついに、森内名人・棋王より棋王位を奪取


そりゃそうでなきゃいかんでしょう。本当によかった。


心から祝福させていただきます。本当におめでとうございます。
これからも存分に楽しませてください。ありがとうございます。


いやしかし、なんでこんなに嬉しいんだろう?