銀林みのる「鉄塔 武蔵野線」(ソフトバンク文庫)


鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)

鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)


終章の、主人公の少年に届けられた手紙のページを、何の心の準備もしないまま、不用意に朝の通勤電車の中で読んでしまい、思わず涙が吹き出て慌てるはめに。


まさに田園にそびえる鉄塔のごとく、唯一無二、まったく希有な小説として屹立する本書について、コチラに書かれていること以上に書ける評はない。

ただ付け加えるなら、大平貴之プラネタリウムをつくりました。」に登場する、少年時代の主人公の好奇心に真摯に応える、数多の無名の技術者たちの素晴らしさに胸を打たれたことがあるひとなら、本書でも最上の読後感を味わえることを請け合う。